第2話 はじまりの終わり

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「猟犬はかなわぬ敵を倒すために力を合わせる。その姿は大きくその力は猛くその動きは速くその牙は鋭く」 牙王の言葉と共に、六匹の猟犬は塵のようになりすぐに再構成された。巨大な黒犬として。室内いっぱいの大きさになると、その口を開いて男に襲いかかった。舞うガラスごと噛みつくが、男は身を翻し空気とガラスを噛み砕いただけだった。男は空中で右手を大きく振る。 「アイヌのウェインカラクルの名を刻み込め! あの世で誰に殺されたか報告するためにな!」 部屋中の鋭角的なものが全方位から牙王に襲いかかる。逃げるどころか身動き一つできずにあまたの刃に串刺しになる牙王。だが次の瞬間、牙王の姿は消え人の形をした白い紙だけがあり、それもすぐに刃に切り裂かれた。 「チッ、人型の術か。逃げ足だけは速いか、光邪は。後片付けもできないのに」 男=ウェインカラクルはそうつぶやくと、猟犬を睨みつける。召還した者は消えたがティンダロスの猟犬は残ったままだ。残された命令もそのままに。猟犬はゆっくりと振りかえり唸り声を上げにらみ返してくる。
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