第3章 もう一人の闇使い

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「かなり遠くまで飛んだはず…」  ウェインカラクルは膝をついた。 「ここまで来れば…」  息を整えて、再び立ち上がった。光邪では牙王が動きが活発になっていると聞く。おそら くそれは今日の内に片付くだろう。しかし、まさかコタンからの刺客がこんなに早いとは…。 「ちっ…」  この男には珍しく、吐き捨てるような舌打ちだった。         * * * * *  勇哉と摩耶は博物館裏の森の中を走っていた。 「何なのよ!いったい!」  摩耶が速度を落としながら声をあらげた。 「あいつら!」  遠くに見える博物館はめちゃくちゃだ。程なく消防車やら、警察やらが来るに違いない。 「勇哉を狙ってるって言ったわね」  立ち止まりながら摩耶が言った。肩で息をしている。 「…私を人質にして、…それって、どういう…」  不意に摩耶の声が途切れた。 「…」  勇哉は、まさか、と思った。何年か前に見たきりの女の子らしい摩耶。こういう時男は女 を守らねばならない。 「…摩耶」  だが守る必要はなかった。
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