第3章 もう一人の闇使い

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 節くれだった人差し指を立て、ひときわよく響く声で言った。 「討つべきは、よみがえる光邪の闘神。…ありゃあ、光の神じゃよ。二千年前、フリギュア の王都ゴルディオンの軍勢三万人を一瞬にして消滅させた、あの悪魔の光じゃ」  摩耶と勇哉は目を見合わせた。  そして勇哉の手にあるハンマー視線を移す。 「唯一対抗できるのは、この闇じゃ。光邪もそれを知っている」 「勇哉を狙うのは、その為?」  摩耶が訊いた。言いにくそうだ。 「殺すの?」 「殺しはしない。絶対にの。だが封印されるじゃろ。未来永劫。ずうっと」  いくらニイメ婆さんとは言え、闇は殺すと転生する可能性があるだ、とは言いにくいよう だ、とウェインカラクルは思った。  勇哉は軽くめまいを感じた。 「嫌じゃろ…」 「かなり、ね」 「もう一人、会わせたい者がいるんじゃ。おい。出て来い」 「え!?」  混乱する二人をよそにニイメ婆さんはまた大袈裟に手招きした。音もなく人影が現れた。 この人物がここに来ることは知らなかった。だがウェインカラクルは驚きはしなかった。腕を組んだまま、呆れ顔だ。 「弟子のチチカカコじゃ。勇哉と同じ、心に闇を宿しておる」  一般的な言葉の意味とは違う。勇哉は直感し、また摩耶も理解した。本物の闇なのだ。  チチカカコは、物も言わず、いきなり木剣を投げつけた。無論、ウェインカラクルに対し て、である。ウェインカラクルはわずかに首をそらせたのみで、その一撃をかわしていた。 ニイメ婆さんの前で惨劇など起こるはずもない。
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