第四話 混沌への誘い

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「そうだっ、今日はどうせ終業式だけだし、部活もお休みだから、お昼食べてから映画行こうよ!見たい奴があるって先週言ってたじゃん。当然ワリカンだけど。」  ゆっくり感慨にふける間もなく、摩耶がそう提案してきた。相変わらず唐突だ。僕が最近元気なかったのをなんとかしたいんだと思うけど、彼女はまず行動に移そうとする。考えなしって訳じゃなくってただひたすらポジティブなんだ。 「制服のまんまってのはまずくない?いくらなんでも」 「なんで?別に問題ないでしょ?家に帰ってたら1時のに間に合わないし。」  一応混ぜ返してみた僕の発言に摩耶は軽く首をかしげる。 「1時のじゃご飯食べる余裕とかないんじゃないの?」 「んじゃ、3時半のにする?ゆっくりご飯食べて適当にウインドーショッピングとかやって時間つぶせばいっか?先に映画見る?」  摩耶の中では映画に行くのはもはや決定事項らしい。はたから見たら彼女に引っ張られまくりの情けない男に見えるのだろうか? 「そうだなー、っていうか、僕が問題にしてるのはそういうことじゃなくって、制服で行くんじゃ目立ちすぎなんじゃないのって言いたいのっ。また何かうわさされちゃうよ。嫌じゃないの?」  あの冷やかしは正直気恥ずかしい。摩耶はどう思ってるんだろう?いつも平然としてるけど。 「別に?今更でしょ?言い訳するとほんとみたいに思われちゃうしね。それとも何?私と映画行くがの嫌な訳?」  最後の方ではちょっとドスの入った声になって摩耶が答える。本気で言ってる訳ではなさそうなんだけどじっと睨みながらそんな声を出すから、ちょっと恐いじゃないか。
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