第1話 プロローグ

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「はい…」 「あ、勇哉?今日の文・手芸部はあの話で持 ち切りだったわよ。色々と聞かれたわ。『何 処に行くの?その後どこへ?さらにそれから は?夕食は?お泊り?どっちの家?ひょっと してホテル?』とかね」 「う…ごめん…」 「いいわ…どうせ明日空いてるか聞かれて馬 鹿正直に答えちゃったんでしょ」 「よ、よく分かるね」 「そりゃそうよ、あの現場にいた子が一部始 終を話してくれたんだから『ただ一緒に博物 館に』って」 「ごめんね…明日どうしようか?やめておく か?」 「ううん、中止にしたら余計に何か言われる わ。十一時いつもの本屋で立ち読みでもして てね…明日は全部そっち持ちよ」 「はぁ…分かったよ」 「ま、勇哉が遅刻するのはありえないから安 心ね。そうそう…」 それから雑談、今日の学校での話、再度明日 の確認をして 「なぁ明日みたいものってそんなに珍しいも のなのか?」 「それは見てのお楽しみよ。それじゃおやす みなさい」 「おやすみ、また明日」 受話器を戻し通話時間を確認すると二十分程 だった事が表示される。
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