第7話 終わりの始まり

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鉄をこするような音を立てながら、返答がかえってくる。それを聞いて牙王はゆっくりと符を取り出した 「ティンダロスの猟犬よ」 牙王の前で符が犬の形となる。もはや光邪に未練はない。せめて赤光様が回復するまでの時間稼ぎをしないと。 鉄仮面達が入り口を背にした牙王を半包囲する。この入り口を通すことは出来ない。 一斉に金属のこすれる音がして、ジェボーダンの獣が抜剣した。もはや引くことなど考えてない。ただ争うのみ 「ティンダロスの猟犬よ、引き裂け」 牙王の命令で、伏せるように威嚇していた猟犬が正面に飛びかかる。同時に牙王は間合いを詰めて来た左側の鉄仮面に殴りかかった。 「たかが、素手になにができる」 笑いながら受け止めようとした鉄仮面は、しかし牙王のパンチをもらって数メートル吹き飛ぶ。 「これでも符で強化はしているのでね。見くびらないほうがいい」 隙を見て背中を斬ろうとした右側の鉄仮面を睨みつけ、牙王は言う。正面では猟犬が跳ねるように移動しながら、牙と爪で何人もの男とやりあっている。 「チッ、見くびるな。全力で行け。相手は一人だ」 奥から指揮官らしき鉄仮面が命令を下す。浮き足立っていたジェボーダンの獣は立ち直り、一斉に牙王に襲いかかった。多少の犠牲はやむなしという正しい選択である。
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