第7話 終わりの始まり

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生き残った指揮官から吐き捨てられた言葉は侮蔑に満ちていた 「だが、ジェボーダンの獣は貴様らのようなものを粛清してきた」 指揮官が腕を振ると再び半包囲の状態となる。 「再生できないよう、斬った場所を燃やしてやる」 剣に油がかけられ火をともす。炎をまとった剣をかざしながら再び襲いかかった。 「…くっ!!」 正面の袈裟斬りをサイドステップでかわし、右からの突きを捻ってかわす。ついで左からの斬撃をかがめてかわしながら、手首を効かせた裏拳を叩きこむ。だがその間に背中を斬られ、瞬間、動きが止まる。それを見逃すほど彼らは甘くはない。再び剣が次々と牙王を貫く。今度は炎を纏って。符ごと燃やされ牙王は倒れるはずだった。が、牙王は笑った。炎に包まれながら。 「ティンダロスの猟犬よ。我が身を血肉とし、われと融合せよ」 牙王の身体の表層を包んでいた反魂符が燃え剥がれ落ちる、しかしその下には石綿の符が張られていた。 牙王の身体が符と共に黒い獣と化していく。纏っていた炎がなくなった時、そこには巨大な黒き猟犬がいた。牙王が自らの身体をつかって召還したティンダロスの猟犬が。媒介が符ですら、あの戦闘能力をもっているのを、召還者自身が媒介となったのだ。その強さは おして知るべしである。 ニイメは勇哉に紙を手渡した。無言で目を細め首を縦に振る。それをみて勇哉は紙を広げた。そこには墨でこう書かれていた 『闇聖殿 頼めた義理でなく、無理を承知でお願いしたいことがあります。赤光様のことを助けていただけませんか。いま自分達は光邪をおわれてます。赤光様だけでもお願いします。 もしお願いできるなら地図の場所へきてください。それまでの時間はなんとか稼ぎます』 それと地図が書いてあった。勇哉はまず摩耶に渡した。摩耶は読むなり「赤光ってどんな奴?」と尋ねてくる。良くわからないけど、悲しそうな少女だったと勇哉が答えると、どことなく不機嫌そうな顔になる。その間に紙は、ウェインカラクル、チチカカコ、ニイメへと渡っていた
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