ボーダーライン(本編)

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事件は、今日の昼休みに起こった。 最後に"らしかった"を付けておくべきだろうか。 というのも、そのとき、私は、理科の再テストを受けに行っていて、その現場にはいなかったからだ。 「ホントだって!ホントにいっぱい傷があったんだから!!」 さっきから、必要以上の声で話す、クラスのリーダー格、本多君子。 彼女が今、話をしていることは、女子中学の1クラス、いや、学年中の子を集めるには、充分過ぎる話題だった。 「ねぇ~、優子は知ってたんでしょぉ!? やっぱ、死の願望とかあった??」 わざわざ、教室のど真ん中から、窓際の一番後ろの席にいる私に、君子は話し掛けてきた。 自己紹介をしておこう。 私は、木下優子。バスケ部の元部長。 冬の今は、受験があるため、部活のことは中二に任せている。 君子とかみたいなウルサイのにはついて行こうとしないタイプ。 正直に言うと、男勝りなところもある。 そして、自分で言うのもなんだけど、あんまり人に媚びないせいか、いろんな人に親しみをもたれることが多い。 私が黙ったまま首を傾げると、物足りなかったのか、私の目の前まできた。 君子の周りにいた連中も、いつのまにか私の周りにいた。
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