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私はブランコが好き
だって
いっぱい漕ぐと
未来に進んでるって気がするから
視界が徐々に変わり
体が空気を切る感覚
もっと、もっと早く!
もっと、もっと高く!
もっと、もっと漕ごう!
体が空に届くように
ある時
気がついてしまった
進んだ分だけ、後ろに下がるなんて
まるで一人相撲のようだと
周りを見れば
誰もいないブランコのイス
私は一人
私はまた
精一杯ブランコを漕いだ
目指すは一番高いところ
その瞬間、ジャンプ!
膝からは
真っ赤な血が流れ
肘もかなり擦りむいた
もう、あの感覚は味わえない
けど、私は前に進めた気がした
私のいないブランコは
私を乗せず
前へ、後ろへギコギコと
まるで
始めから誰も乗ってなかったみたいに
私はブランコが好きだった
今までありがとう
あなたに出逢えてよかったよ
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