仄灰色・ゴムボール

2/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「奴ら油断という言葉を知らないよ」 門の様子をこっそり覗いてきた片島は言った。 「あそこからじゃなきゃ入れないってのに」 「焦っちゃだめだ。こうなったら一か八か突進するしかない」 早村は言った。 「は?一番焦ってんのはお前だろ。突進なんて危なすぎるし。そもそもこっちは四人しかいなくてあっちは九人もいるんだから、どう考えたって皆殺しにされるだろ」 「俺だってみんなで帰りたかった。三人も殺されてさ、もうこれ以上いなくなって欲しくないのもやまやまだがな。さっき俺ら三人で話し合ったんだ。もはや虎穴に入るしかない」 「みんなで帰らなきゃ意味ないだろ!それに何でそんな大事な会議を三人だけですんだよ」 片島は興奮しだした。 四人の間にドロドロと亀裂がはしる。 それまで黙ってクレープを食べていた海老三郎は、にわかに片島にクレープをわけてやった。片島は落ち着きを取り戻した。 「死んでいったアイツらのためにも、絶対に生きて帰らねば。突進するしかない!ただし、仲間は極力カバーする」 片島はやる気だ。 「いや、カバーしている暇があったら、作戦遂行を優先させるべきだ」 早村はそう言った。 「それはひどすぎるよ。僕は仲間をカバーする」 ナノリーヌがとうとう自分の意見を述べた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!