第一章『そうだよね、春は旅立ちの季節だから。』

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  †コバミ谷にて    男はとあるダンジョンで青く輝く鉱石を見つけた。  男はこれまで千回程ダンジョンに潜っていたが、それは今まで見たことの無い種類の道具だったので訝しい表情で覗きこんでいた。 手にした鉱石は、青く美しく輝きを放つ。  しかし風来人たるもの、軽はずみな行動は控えるべきだった。  瞬間、世界が青白く染まり……。  強烈な青白い光が、己の影すらも飲みこんで行く。 「なん……だ……。」  苦悶の声を漏らしながら、そして己の意識まで飲み込まれて……。    男の意識が戻ったとき、レベルが1に戻っていた。  しかしそこはいつもの布団の上では無かった。  力尽きたのだろうか?、しかしいつもとは目覚める場所が違ううえに、力尽きたという感覚も無かった。  辺りは草原で、男はそこに転がっていた。  近くには城らしき建物と町らしきもの。  だがそれは男の見たこともない建築物だった。 「ここ……は?。」  呆然としながら、男はそれを眺めるしかなかった。
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