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「どしたの?」
何事かとあたしが尋ねると、加比原はこちらの手をがしっと握ってくる。
「杉ちゃんに、折り入って頼みがあるの!」
「…だから何よ?」
「充実した高校生ライフを勝ち取る為に、私と一緒に闘って欲しいの!」
「……はい?」
意味が分からず、あたしは眉を潜めるけど、加比原は半ば無理矢理にこちらの手を引っ張って歩き出す。
「とにかく来て、お願い!」
状況も分からぬまま、連れて行かれる。
この方向は柔道場か。
「ねえ、マジでなんなのさ?まずは説明してよ」
訝るあたしに、加比原は弱々しい視線を向けてくる。
「…逃げない?」
「内容による」
あたしが素直に答えると、加比原は泣きそうになった。
「ちょ、マジで一生のお願い!こんなの頼める相手、杉ちゃんしかいないんだもん!」
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