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「好きなコが出来た」
俺がそう話を切り出すと、大樹はガチャガチャとキーボードを叩いていた手をピタリと止めて、こちらに向き直ってくれた。
「ほう、頑張れ」
「頑張り方を教えてくれ」
「あぁ?…ちょっと待て、今ボスやってんだ」
オンラインゲームの最中らしく目が離せないのか、再びパソコンの液晶モニターを睨みながら忙しなくキーボードを叩く。
とある日曜の昼下がり。
この悶々とした気持ちを誰かにぶちまけたくて、俺はその相手に大樹を選んだ。
大樹は親戚の兄ちゃんで、七つ年上。
髪型は潔い丸坊主で目付きは鋭い藪睨み、顎には渋い無精髭。パッと見は厳ついけど、性格は普通に優しい兄ちゃんだ。
お互い家が近くて、俺は小さい頃からよく可愛がって貰ってた。
さっきメールしてみたら今日は休みで予定もなく一日ウチでゲームしてるだけっていうし、だったらひとつ聞いて貰おうとこうして押し掛けて来た訳だ。
学校の友達相手に話すと、漏れた時がなんかイヤだしさ…
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