好きなコが出来た。

2/9
前へ
/101ページ
次へ
「好きなコが出来た」 俺がそう話を切り出すと、大樹はガチャガチャとキーボードを叩いていた手をピタリと止めて、こちらに向き直ってくれた。 「ほう、頑張れ」 「頑張り方を教えてくれ」 「あぁ?…ちょっと待て、今ボスやってんだ」 オンラインゲームの最中らしく目が離せないのか、再びパソコンの液晶モニターを睨みながら忙しなくキーボードを叩く。 とある日曜の昼下がり。 この悶々とした気持ちを誰かにぶちまけたくて、俺はその相手に大樹を選んだ。 大樹は親戚の兄ちゃんで、七つ年上。 髪型は潔い丸坊主で目付きは鋭い藪睨み、顎には渋い無精髭。パッと見は厳ついけど、性格は普通に優しい兄ちゃんだ。 お互い家が近くて、俺は小さい頃からよく可愛がって貰ってた。 さっきメールしてみたら今日は休みで予定もなく一日ウチでゲームしてるだけっていうし、だったらひとつ聞いて貰おうとこうして押し掛けて来た訳だ。 学校の友達相手に話すと、漏れた時がなんかイヤだしさ…
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加