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「あーあ、折れやがった」
負けたらしく、大樹はコントローラーを投げ出すと立ち上がってベランダに出る。
季節は冬。
まぁ、日本は北と南で随分と気温差のある国だけど、ここ福岡も12月ともなれば昼間と言えど当然外の空気はクソ寒い。
なのにわざわざベランダに出た理由は、一服の為だ。変に綺麗好きなトコがあって室内がヤニで汚れるのスゴく嫌ってるし。
ワンルームのアパートで独り暮らし、家賃は5万って言ってた。ちなみに302号室。
あるのは最低限の家具や家電品だけで、色は決まって黒。
殺風景な男の部屋にある唯一の飾りは、知人の影響でハマったという女性二人のポスターか。着物姿なんだけど、まぁ確かに綺麗だ。
「で、どんな子よ」
ベランダから聞いてくるので、寒いが俺もそっちに行く。
俺はトレーナーでも震えがくるってのに、大樹は元気にランニングシャツだ。ムキムキのマッチョとは違う、鍛えた体躯をしている。
と、言うのも大樹の実家は古武術の道場をやってて、いわゆるリアルではモンクタイプってヤツだ。
まぁ、俺も「風邪ひかねー頑丈な体を作れ!」って小さい頃から現在にいたるまでそれなりにしごかれてはきたんだが…体質の問題なのか、こんな風にはならなかったけども。
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