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「大丈夫だって。今朝の早起き占いじゃ獅子座の恋愛運は五つ星だったし」
「……あ、それは俺も見てたけど」
思わず同意してしまい、怒る気力が失せる。
実はこうして大樹に相談してみようと思い立ったキッカケも、そのテレビを見ていたからで。
ちなみにラッキーアイテムは「緑の多い場所」らしい。
占いを信じた二人の結果がこの流れなんだとしたら…
案外、井上さんにオッケー貰えたりなんかして…
「はい、もしもし?」
大樹が電話を耳に当てる。
盗み聞くつもりはなかったが、漏れる声で性別だけは分かった。
女性だった。
「はァ?今からは…あー無理。親戚の子が遊びに来てて…ちょっ、お前が気にしなくてもこっちは気にするんだよ。いや、黄泉がじゃなくて俺がな?あぁ?」
…ううむ、眉間には露骨に皺が寄ってるし何やら本気で苛立ってそうだ。
俺がこのままいたら、なんだか悪い事が起きそうな予感がビンビンするぜ。
「ん、相談事にはもうカタがついたし…俺、帰るわ」
電話中の大樹にそう告げて、俺は帰る事にした。
電話の相手と喧嘩腰で話しながら俺にも何やら言ってくるが、残念ながら聞こえなーい。
靴を履いて、さっさと玄関を出る。
おおう、やっぱり外は寒ィや。
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