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西の魔王
「あぅあぅ…どうしましょう、どうしましょう…」
長い金髪の少女が1人。
広く巨大な城の…ある部屋の中で呟いていた。
部屋の中は薄暗く、何やら書類で散らかっている。
―パンパンッ。
「タルハ、タルハ!」
少女が2度手を叩くと、赤い髪の女性が暗闇から現れた。
「お呼びでしょうか、マスター。」
女性は少女に膝まづくと、妖艶に微笑んだ。
「タルハ!至急、北の魔王城へ赴き、この手紙を届けてください。」
少女はそう言うと、タルハに封筒を渡した。
「しかしマスター。何故私に…?郵便ならば使い魔でも」
「駄目です。…先程、この魔界に侵入者があったという内容の手紙を出した所…使い魔の反応が消えました。」
「そ、それは本当なのですか?!」
タルハは信じられないといった顔で少女の顔を見た。
「えぇ。…もしかしたら奴が動き出したのやもしれません。先程の手紙の内容はいいですが…この手紙に何かあっては大変困る事になるので、あなたに。」
タルハは深く頷き、手紙をしまい、
「イエス、マイロード。…マスターが私を信じてのこの任務…必ず!」
「ありがとう、タルハ。」
「ハッ!」
タルハは深々と一礼すると、窓から外へと消えた。
少女は窓の前に立ち、北を見つめる。
「気を付けて。タルハ…。」
一方その頃、北の城では
丁度 勇者と魔王が旅立ったところでした。
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