―ルシフェル―

3/13
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
―けれど、寝ようとした、まさにその時だった。 …―殺気?! はりつめたように鋭い空気。 自分に向けて、威圧するかのように放たれている…視線。 ……来るッ。 ソイツは部屋の四隅…暗闇からゆっくりと現れ… 三日月のように口の端を吊り上げて、笑みを浮かべた。 「こンバんハ。」 ソイツは全身を黒のコートで覆っていた。 深く被っているフードは、顔を隠す為なのだろうか… 口から少し上は見えない。 だが、そんな中でも。 余はソイツの正体に気付く事が出来た。 余はソイツに…1度会っていたから。 独特な…不規則なカタコト。 絶やさない冷たい笑み。 「……東の…か。」 余は溜め息にも似た声で呟くと、ソイツを余の赤い瞳で…鋭く睨む。 だって、ソイツは… 東の魔王 ベギ=ラウナ 本人だったからだ。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!