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―けれど、寝ようとした、まさにその時だった。
…―殺気?!
はりつめたように鋭い空気。
自分に向けて、威圧するかのように放たれている…視線。
……来るッ。
ソイツは部屋の四隅…暗闇からゆっくりと現れ…
三日月のように口の端を吊り上げて、笑みを浮かべた。
「こンバんハ。」
ソイツは全身を黒のコートで覆っていた。
深く被っているフードは、顔を隠す為なのだろうか…
口から少し上は見えない。
だが、そんな中でも。
余はソイツの正体に気付く事が出来た。
余はソイツに…1度会っていたから。
独特な…不規則なカタコト。
絶やさない冷たい笑み。
「……東の…か。」
余は溜め息にも似た声で呟くと、ソイツを余の赤い瞳で…鋭く睨む。
だって、ソイツは…
東の魔王
ベギ=ラウナ 本人だったからだ。
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