黄泉比良坂編

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さて、まずはこの素敵なご馳走を味わうのが先ね。 この甘味なご馳走を―― ――ご馳走? ご馳走なんて、どこにあるの? 目の前には、私と同じニンゲン・・・・それが、ご馳走?? 混乱する頭を抱えながら、ゆっくりと目の前のソレに目を向ける。 私 「ア、ハハハ・・・・・はぁ・・・・・・」 自分の意思に反して、頬肉がニタリと歪んでいたのが、自分でもよくわかる。 目の前の女の子は、恐怖に引きつった顔を向けていた。 女の子 「あ・・・・・あぁ・・・・・・」 『ち、違う!私はそうしたいんじゃない。お願いだから、そんなに脅えないで!そんな目で見ないでッ!!』 アハハハハハハッ! 可愛い。 こんなに脅えきった目をしちゃって。 でも、そんな顔したってダ~~~メ! ご馳走はご馳走。 美味しく食べてあげるんだから、もっと喜びなさい。 『待って!食べるって何?まさか人間を食べるって言うの?』 『冗談じゃない。そんなの食べれるわけないじゃない!人間が人間を食べるなんて、聞いたことがないッ!!』 何を今更のように言っているの? さっきだって、若い男を『食べた』ばかりじゃない。 ニンゲン―人を・・・・・・ あのニンゲン、ちょっと色目を使ったら、ほいほい暗がりまで付いてきたわね。 アハハ、バッカみたい。この期に及んでそんなことを言っても、もう引き返せないって言うのに。
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