黄泉比良坂編

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凛として、心の奥底な響く音色・・・・・ 私はその音色になぜか戦慄を覚えた。 全身から嫌な汗が、滝のようにながれてくる。 身体中で感じる恐怖・・・・・ 正体はわからないけど、私は知っている。 それはまぎれもなく、『死』を運んでくるものだ。 私 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」 さっきから耳の奥で、自分の呼吸が耳鳴りのように聞こえてくる。 地鳴りのような騒がしさに、ああ、そうかと思った。 今夜は、年に一度楽しいお祭りの夜・・・・・うるさくて当たり前だ。 けれど、その騒がしさとは裏腹に、辺りには人っ子一人通らない。 軽快に響いていた祭囃子に聴き入る見物人もいない。 ・・・・・それはそうだ。 今、私がいる『ここ』は、華やかな祭りとは無縁の『場所』なんだから。 私 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、・・・・・・」 駆け抜けるのは、先も見通せない程の闇の中。 それでも、後ろを振り返ることなく必死になって足を動かす。 身体の感覚なんてとっくになくなってるけれど、止まるわけにはいかない。 この闇さえ抜ければ・・・・・・ ここさえ逃げ出せれば、なんとかなる。 そう・・・・・・・私は、必死になって『逃げて』いた。
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