4人が本棚に入れています
本棚に追加
何から『逃げて』いるのかさえわからない。
辺りに響くのは、私の足音と荒い呼吸の音・・・・・
他には何も聞こえず、何も見当たらない。
けれど、私は『追われて』いた――
今まで私が過ごしてきた、平凡な、何の刺激もない人生からは、到底考えもつかない出来事。
それは、何の前触れもなしに唐突に起こった。
どう動くべきか、何が最善なのかはわからない。
ただ私は、震える膝を押さえて、闇雲にに走った。
暗闇を走る。
どうしてこうなってしまったのか・・・・・
どこからこうなってしまったのか・・・・・
そんなことは、当の私自身が知りたい。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
そう、確か私は課題を仕上げるために、研究の一環としてこの町を訪れたのだ。
――その後の記憶は曖昧だった。
確かそんなことを考えてて、それからどうしたのか・・・・・・
気がつけば、私はこうしていた。
ここ数日間の記憶が曖昧なまま、私は町中にいた。
町ではいつの間にか、昔から続く祭りが始まっていた。
随分と気分が悪い日々が続いたような気がしたけれど、気がつけば、妙に清々しい気分だった。
世の中には、とても良い匂いが溢れかえっている。
最初のコメントを投稿しよう!