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「これでひとまずは大丈夫……かな」
「そうね」
カイトとアイリスはアスカの側面展望スペースから無限に広がる大東を眺めていた。
「あっちがドルト島でエル・ラピスは向こう側ね」
「あぁ。そうさ。帰るんだ、ミリア王国に」
アスカがアトラプト湾を出航して数日、太陽は甲板を燃やしそうなほどに照りつけていたが、対照的に空は涼しいくらいに碧かった。
「ねぇカイト……ちょっといい?」
「何、ってちょっと待って!」
その髪を煌めかせてアイリスはカイトの腕を取って艦内へ駆け出した。
「また二人で飛びましょ!」
「艦内を走らないでっ!」
そのアイリスの表情は太陽も裸足で逃げ出すほど美しく、それを追うカイトはそれを包むような微笑みで彼女を追いかけるのだった。
ここにまた一つ、戦いが終結した。
時にダミラウス歴758年の事である。
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