深紅の機体

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一瞬の出来事。 すれ違いざまに両機のパイロットは互いの顔を見合わせた。 敵の顔から不気味な笑みが消えていた。その口はへの字に歪み、ゴーグルの向こうにある双眸はカイトをじっと見つめていた。 赤い戦闘機の機体から煙が吹き出す。 ―軍配はカイトに上がった― その損傷は深刻なものではないがこの戦闘の勝者が決まった以上、両機とも攻撃するのを止めた。 多少苦しげに飛んでいる赤の機体にカイトの白の機体が近寄り、横に並んだ。 進路は大東海の防衛ラインへ向けられていた。 しばらくしてカイトはそのパイロットに敬礼をした。 パイロットも苦笑いと共に敬礼を返す。 オクサリスは反転し、ベルーイ基地へと進路をとった。 あの機体が防衛ラインを突破出来るかどうかは分からないが、多分あの腕なら越えてしまうのではないかとカイトは微かに思った。
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