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そしてその日。
ついに天岩戸が開いた。
前触れは何もなかった。
綾乃の家の前で白い息を吐きながら、いつもの時間になるのをぼんやりと待っていた。
と、カチャリと玄関の方で音がした。私は顔を上げて一瞬目を疑った。目の前に制服姿の綾乃が現れたのだ。
綾乃はかなり緊張している様子で、顔も紅潮していた。私も何故だか緊張してきた。
私は掛ける言葉が見つからず、小さく「行こう」とだけ言って二人で自転車をこぎ出した。
後ろからついてくる綾乃の緊張が背中にひしひしと伝わってくる。
私はそれをほぐそうと昨夜見たテレビの話題などを絶え間なく喋り続けた。
綾乃はロクに返事もしなかったが構わずに続けた。
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