8人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピピピピ、、、
鳴り響く目覚まし時計の音に亮介は目を覚ました。
今日は年に一度の運動会。
運動が苦手で、クラスの人からも苛められている亮介には地獄の様な行事だ。
重たい身体を引きずって一階へと降りた
――誰も居ない――
亮介の親は共働きで、裕福とは言えない生活だった。
ぼんやりと考え事をしていた
朝の静まりが、まるで亮介を孤立した世界へと誘うようだった。
「嫌だなぁ」
そう呟いた。
学校へと足を進める。
嫌だ、学校の人と顔を合わせたくない…
けども、確実に亮介の足は学校へと歩んでいた。
学校へつくと、みんなの体育大会話しでざわついていた。
――カツッ――
亮介が入るとクラスが静かになった。
しかし、また先ほどのざわめきが戻ってきた。
校長の長い話が終わり、流れるようにプログラムが進んでいく。
「次の種目はクラス対抗全員リレーです。」
放送委員のアナウンスと共に
一斉にスタート位置へと移動する。
移動中クラスの[誰か]が亮介に声をかた。
「お前がいるから負けるんだろうな
何でお前学校来たんだよ。」
亮介は痛かった。
頭でもお腹でもない
心が…
亮介の中で何かがはじけた様な気がした。
こういった時の時間は
いつも早く過ぎるのは何故だろうか…?
次は亮介の番だ。
亮介の前の人が
近づく
近づく
すぐ近くに
(怖い……)
そしてバトンを手に取り
走り出した。
結果なんて亮介もわかってた
アニメやゲームの世界の様に上手くはいかないものなのだ。
クラス中は静まり返っていて、みんなが悔しそうな顔をしている
「お前がいなければ…」
悔し涙を目に溜めた人が亮介に吐き捨てるように言った。
そしてまた放課後がやって来た。
(お前なんていなければ…)
その言葉がずっと鳴り響いている。
覚悟していたはずの痛みなのに…
涙が止まらなかった…
「僕なんて居なければ…」
そう呟いた瞬間
何かの音と共に亮介の意識は……遠ざかっていった。
最初のコメントを投稿しよう!