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茂る木々の獣道。 晴天だと言うのに風は頬を叩く程に強く、木漏れ日が鬱蒼と茂る森林からでも差し込む。
本来ならば森林浴、とでも気軽に洒落込みたい所だが、生憎とセロには そんな余裕は無かった。
「また同じ道か。 完全に道に迷ったなぁ」
なんて独り言は、風によって空しく雲散霧消と掻き消される。
セロは ぽかんと空を見上げて黄昏れている。 朝起きて、レッカーと今後を話し合い、結果として同胞を集めるのが目的となった今日。
早速、先ずは『エルフ』と呼ばれる才色兼備の種族とコンタクトを取る為、『迷いの森』なんて名前の森林に入ったのが運の尽き。
陽も既に真上を過ぎ、西に傾く途中。 完全に途方に暮れていた。 レッカーは先日の傷を手当てするのと共に、『ドワーフ』と呼ばれる職人気質の種族へとコンタクトしに向かっている訳で。
あんまり土地勘の無い……と言うよりも方向音痴のセロは、名を体で表している森にて迷いに迷っていた。
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