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「ふむ。 あれが もうすぐ俺の手中に収まるのか……悪くはないな」
青年は口角を吊り上げ、含みのある笑みを零す。 最初に言っておくが、この城の所有者はこの少年――セロでは無い。
何も無いこの大陸において、不自然に建てられた この城をセロは奪う気でいる。 無論、城の所有者は人工的に造られた所を見ても、他に誰か居るのだろう。
所有者が居ても尚奪う気でいる辺り、彼の人格とも呼ぶべきものが垣間見れる。
「……ほほぅ、玄関の扉も相当デカイな。 意外に所有者は巨人かもな、フフッ」
言ってて何が面白かったのか、自然と笑いも零れた。 玄関に当たる扉は一般成人男性の三人分はある高さを持ち、茶褐色の木で出来た傷一つ無い光沢ある それは出来て間もないのだろうか。
益々気に入った、と小さく零してセロは金の鍍金(メッキ)で彩られたドアノブへと手を掛け、扉を開いて了承も無く勝手に上がり込む。
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