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程無くしてセロは ある一室を見つけた。 階段を見つけては昇り見つけては昇りを 繰り返し、気配を探りながら慎重に移動をして漸(ようや)く それらしき部屋を見つけたのだ。
その部屋は明らかに不気味。 そうとしか表現が出来ない。
扉越しからでも、大気や人体に含まれる元素の一つ『魔力』が鳴動しているような感覚さえする。
「間違い無く、城の主はこの中だな。 この魔力は只者じゃない……が、俺には及ばんな」
風も無い城内の筈なのに、彼の外套は強風に煽られるかのように激しく揺れ動いている。
セロは腰に差してある剣を左手で抜き取る。 不気味な紫色をした刀身は不可思議な紋様が刻まれている。
「いざ、城奪還へ!」
強奪の間違いではなかろうか。
彼は手に持った剣を一度強く握り絞め、臆する事無く部屋へと続く扉を開けた。
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