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「……あははっ」
「?」
突然あたしは、笑い出してしまった。夕羅はきょとんとした顔をしてる。
「なんか一緒だね…人間とか妖魔人とか関係ないんだなぁ、って思って」
憎んだり、争ったり、泣いたり、笑ったり…色々。
人間も妖魔人も同じ感情がある。だから、いつか分かり合えるかもしれない…そうだといいな。
そんな事を考えていたあたしを、夕羅は優しい目をしてじっと見つめ、
「…綺流兎ちゃんのちゃんと笑った顔見るの、10年振りだな」
ふっ、と微笑んだ。
10年…って、夕羅と初めて出会った昔?
「あたし、笑ったっけ??…覚えてない」
夕羅の笑顔を見ると、動悸が激しくなる。
それを悟られないように、あたしは目をそらし、月を見上げる。
「キャラメルあげたら『ありがとう』って喜んでくれてさ……あの時、俺決めたんだ」
「決めた…?」
つい、夕羅の方へ向き直る。
「うん、綺流兎ちゃんを嫁に貰うって、ね」
「よ、よよよっ!…嫁っ!?」
真っ赤になるあたし。
「一目惚れって言ったろ?…で、10年も経てば、きっと俺も立派に妖魔人の王になってるから、迎えに行く…ってコトだったんだ」
「う…あ…そ、そう。」
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