ふたりのじかん

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山崎は飛び付くリンを優しく受け止め、目も当てられないくいの熱々ぶりを披露する。 …………なんて事は、決してなかった。 「ひっつくなっつーの」 「あぅあぅ~」 ベリッと、音が聞こえてきそうな程にアッサリとリンを引き剥がして、何事もなかったかのように消毒の用意を始める山崎。 そんな山崎を、リンは恨めしそうな目で睨む。 そう、この二人。 お互いの気持ちを確認したにも関わらず、今までと何ら変わっていないのだ。 「…………ススムちゃんのアホ」 「アホはお前だろうが。いいからさっさと傷見せろ。あ、すいません、ちょっとコイツの消毒するんで少しだけ外して貰えませんか?」 山崎の言葉に、沖田と斎藤は小さく頷いて腰を上げた。 「ちょうど今から、斎藤さんと僕の隊の巡察ですし、これで失礼しますね」 いつも通りの笑顔で部屋を出ながら沖田が言うと、斎藤も続いて部屋を出ていった。 カチャカチャと、準備をする音だけが部屋に響く。 「ススムちゃん、この前のおでこにチューは夢だったんですか?それとも幻覚?」 突然、真顔で詰め寄るリンに、山崎はガクッと方肩を落とす。 「…………そんなワケないだろ」 「じゃ、じゃあ何で…………」 言葉の途中で、シュンとする。 .
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