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「土方さん、山崎です。少しよろしいですか?」
「ああ山崎か、入れ」
襖を開け、一礼して部屋に入ると土方の前に正座する。
しかしどう切り出したらいいものか…、となかなか話を切り出せない山崎。
そんな様子をみた土方は自分から口を開いた。
「……さっきの声、やっぱりあの文のリンとか言う女だったのか?」
土方に問われ、山崎は深いため息をつきならがら小さく頷く。
「はい…。なんとか大坂に追い返そうとしたんですがなかなか諦めなくて…」
そう言うとバッと手をつき、深々と土下座しだす。
そんな山崎に土方は思わずビクリと肩を揺らした。
「副長後生ですっ!!
アイツを……リンをなんとか説得して頂けないでしょうか!!
どんな手を使ってもいいんです!!
なんとかしてアイツを屯所から追い出さないと、新撰組はおしまいです……っ!!
もう、土方さんしかアイツをどうにか出来る人いないんです!!」
滝のような豪快な涙を流しながら必死に懇願する山崎。
そんな山崎の剣幕に土方はさすがにイヤとは言えずに
「お、おぅ」
と顔をひきつらせながら頷いた。
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