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「ススムちゃん痛いですぅ。
しくしくしく……」
「しくしくじゃねェェェェッ!!
来て早々何しとんのじゃオノレは!!
さっきのは一体何の真似だコラ!?」
体を起こして泣き真似をするリン。
そんなリンを仁王立ちをして見下ろす山崎。
表情は未だに般若。角も引っ込む様子はなさそうだ。
泣き真似は山崎には通用しないと分かったのかケロッとした顔に戻ると、自分なりにできる限り可愛らしく上目遣いに山崎を見上げた。
「ごめんなさい……。
久しぶりにススムちゃんの匂いかいだから我慢出来なくなっちゃって……」
言ってることははっきり言って変態そのものだが、リンの大きな黒目がうるうると自分を見上げてる様を見て不覚にも山崎はドキッとしてしまう。
まるで子犬を苛めているような、そんな錯覚を山崎に起こさせるのだ。
ちなみにリンは小さい頃からよくこの手で山崎を黙らせてきた。
山崎がこういう目に弱い事を知っていてそれを狙い、あえてそんな態度に出たリンは、いわゆる確信犯である。
タチの悪いことこの上ない。
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