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そんな二人の様子に、ちょっと蚊帳の外になっていた近藤は厳格そうな顔を少し困らせて声をかける。
「まぁまぁ、山崎くん少し落ち着きなさい。
状況はいまいちよく分からないが、そちらの可愛いお嬢さんだって悪気があった訳ではないだろう?」
局長である近藤に諭されさすが言い返す事が出来なくなり、思わず言葉を詰まらせる山崎。
(悪気がない!?どう見たって悪意の塊だコイツは!!)
口には出さずに、心の中で悪態をつきながら横目でリンを睨みつける。
リンはそんな山崎の様子を見て、ピンと来た。
近藤は山崎にとって全く頭が上がらない存在なのだ。
しかも山崎は近藤の事を『局長』と呼んでいた。
局長と言うからには新撰組内の権力者であることがうかがえる。
ということは近藤にむやみやたらに逆らえる者は、組内にはそうそういないということだ。
リンは二人に見えないように軽く俯いて、ニヤける口を袖で隠す。
(こ、これは使えますっ!!
この近藤というお方に取り入って新撰組入りを許して頂けたら、それは実質組の決定になるのでわっ?!
そうなればススムちゃんだって、リンをおいそれと追い出せなくなります!!
……ふふ、うふふふふふ)
自分のナイスな作戦に、心の中で含み笑いをする。
そうと決まれば即決行である。
リンは潤んだ目を近藤の方へと向けた。
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