2155人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいんです、リンが悪いんですっ!!
お国の為に日々頑張ってるススムちゃんの役に少しでも立ちたくて、一人立ちの期にお手伝いしようと思って来たんです。
でも……分かってました、こうやってイキナリ大坂から押しかけて来られても迷惑だっていうススムちゃんの気持ち。
なのにリンはススムちゃんに久しぶりに会えた喜びで浮かれてしまって、ススムちゃんの嫌がってるのに気づく事ができなかったのです……。
このままここにいても屯所の皆さんにも迷惑がかかりますし、当てのない旅にでて一人立ちしようと思います……」
言いながら言葉の端々で声を震わせて、目には涙を滲ませるリン。
もちろんこれは演技である。リンは三秒で涙を流せるという特技を持っている。
厳格な雰囲気ではあるが心優しそうな近藤の性格には、同情を誘うのが一番手っ取り早いだろうと考えたからだ。
まるで天使の皮を被った悪魔そのものである。
しかしそんなリンの様子に、それが演技であるなどとは全く知らない近藤は涙で思いっきり顔をくしゃくしゃにしながら、肩を震わせてガシッとリンを抱きしめた。
「な、何という健気な女子なのだぁぁぁぁっ!!
山崎くんの役に立ちたいが為に遠路はるばる京まで足を向けたというのかっ!?
しかも山崎くんにとって迷惑になるなら自分は身を引くと!!
こんな出来た女子は私は見たことがないぞぉぉぉぉぉ!!」
叫びながら男泣きをする近藤。
そんな近藤の腕の中でリンは、かかった!!とばかりにもう一度ニヤリと顔を歪ませた。
.
最初のコメントを投稿しよう!