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そこには雑な字で、『あなたの服部リンより』とデカデカと書かれていた。
宛名を見た瞬間、あんぐりと口を開けて山崎はピキッと石のように固まってしまった。
「なぁんだよ、やっばり女じゃねえかよ。
てか『あなたの』とか書いてあるし……ププッ、お熱いこったなぁ」
バシッと山崎の背中を叩いて土方がからかった。
しかし、山崎は固まったまま土方の言葉にも全く反応して来ない。
「……?おーい、山崎!!……なんだ、どうしたんだよ?」
土方に何度か頬をペチペチと叩かれ、山崎はようやく我に帰った。
「な、なななんでリンから文なんかが……」
そうつぶやいた山崎の顔からは、血の気が完全に失せていた。
顔が青いどころか、それを通り越して白い。
そして意を決したように、ガタガタ爺さんのように震える手で恐る恐る文を開いた。
宛名同様、女の子がしたためたにしてはひどく雑な字で文面は書かれており、目を凝らしながら文を読む。
土方が一言「読みづれぇな……」とポツリと漏らした。
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