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「スス……ムちゃん?何で泣いてるんです……か?」
リンの指が、山崎の頬に伸びその雫をそっと拭う。
山崎は微笑みながら、何でもないというように、首を小さく振った。
頬に触れたリンの小さな手を、山崎は大事そうに両手で包む。
「リンね、……おじいちゃんに会ったんです」
「師匠に?」
山崎の声に、リンはコクリと頷く。
「おじいちゃん……すごく優しかったです。リンに……謝ったです。ホントは誰よりも……リンを愛してたって、言ってくれました」
「……うん」
「リンは、おじいちゃんに嫌われてると思ってました。でも、違ったんですね……女の子だから、余計に厳しくしていたんですね……。忍として生きていく……リンのために」
「……うん、そうだと思うよ」
気がつけば、リンの頬にも涙がつたっていた。
リンが、涙を流したまま山崎を見つめる。
「ホントはね……あのままおじいちゃんのところにいようと思ったんです。でもね……暗闇の中から、ススムちゃんの声が聞こえたの……」
吸い込まれそうな程に澄んだ黒目の瞳を、山崎は見つめ返す。
「"リン"って……、呼んでくれたでしょ……?」
そう言ってリンがにっこりと笑うと、山崎は思わずリンの体を抱き締めた。
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