治療のじかん

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山崎に抱き締められたまま、リンは目を瞑る。 「ススムちゃん……」 「……何だ?」 「リン……ね?ススムちゃんがいてくれて……すご~く幸せだったです……」 お互いのぬくもりが、鼓動が、生きてるという実感をもたらす。 「だって、ススムちゃんがいてくれたから……リンは独りぼっちじゃなかった」 無くしそうになって、初めて気付くこともある。 「信じて……ました、ススムちゃんの事」 小さな頃から、共に泣き、笑い、一緒に過ごしてきた絆。 「リン……気付いたんです」 かけがえのないものは、案外すぐ近くにある。 「リン、……リンね……?」 リンは、幸せそうに微笑む。 「ススムちゃんなら、たとえ……のっぺらぼうでも好き……」 「ああ、……俺も好きだよ」 山崎の手が優しくリンの頭を撫でると、リンが驚いた顔をして山崎を見上げる。 そんなリンに、山崎は照れ隠しにニカッと笑ってみせた。 「ま、変態なトコロはもうちょい何とかしてほしいけどな」 「それは無理そうですぅ」 「無理なのかよ。ちょっとは努力しろ」 即答するリンのおでこに、山崎はそっと口づけを落とした。 .
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