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「……まぁ、イタイ奴だっつーのはこの文読めばなんとなくわかるが……。
このリンとやらはこの屯所に住み着く気か?
いくら16歳のガキとはいえ女は女だ。
この野郎だらけの新撰組に女なんぞ住まわしてみろ、それこそ親父さんが嘆くような結果になるのは目に見えてんじゃねーか。
責任取れって言われたって取れねぇからな」
「あ、そうゆうことは大丈夫なんですけ――」
「たのもぉぉぉぉぉぉッ!!」
山崎の言葉を遮るように、屯所内に女の子の甲高い声が響き渡った。
その声に、二人は思わず目を合わせて叫ぶ。
「き、来やがったぁぁぁぁぁ!!」
叫ぶと同時に、山崎は土方を置いてダッシュで声が聞こえたであろう門の方へ急いだ。
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「ふぅ、やっと着きました~」
門前に黒目がぱっちりしていて黒髪を肩の下で切りそろえた少女が立っていた。
両方の横髪を耳の上辺りで赤い髪紐を使い、ちょんちょんと結んである。
その髪型のせいか大きな黒目のせいか、少女はまだ幼さをのぞかせていた。
「ふんふん、ここが今日からリンとススムちゃんの愛の巣になるんですね……うふふふふ」
1人頷き、うっとりしながら妄想に夢を膨らませるリン。
端から見れば怪しい上に気味が悪い。
できればお近づきになりたくない人種である。
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