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僕は母親から人間は怖いモノだと教えられてきたけどそうじゃ無いのかもしれないと時折思う。
赤いきらきらと輝くカバンを何時もしょって僕のお気に入りの日向に遊びに来る。
彼女には僕の声は聞こえないけれどそれでも、笑顔で僕と遊んでくれる。
「お前、真っ黒だな!」
少女は元気に話しかけてくる。
「そうだよ!」
僕も負けじと答えた。
「お前なんで黒いんだ?」
少女は投げかける。僕も今まで考えてなかった事を聞かれて首を傾げた。
何で黒いのだろう……
「他の猫(ヤツ)よりも暖かくなるためだ!」
僕がそう答えても彼女は言葉を返さなかった。きっと僕らの使う言葉が彼女には通じないのだと思った。
彼女は急に深刻そうな顔をする。僕もつられて何だか悲しい気持ちになった。
「あのな……もうすぐ引っ越しするんだって」
「居なくなるの?」
「……どっか遠いところへ行かなあかんらしいんよ」
「もう会えなくなるの?」
「――だから、もうしばらくしたらお前とも会えなくなるな……」
「もう一緒に遊べないの?」
「……上手く言えないけど、お前と仲良くなれて良かった――ってまだこの町を離れるまで日にちはあんねんけどな! ……お前はそうは思ってないだろうけど、ウチらあんなに遊んだ仲なんやずっと友達やで」
僕は彼女のしんみりとした会話に耐えきれなくなってそれまで遊んでいたおもちゃを口でくわえると彼女へぶつけた。
亞ク亞
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