春眠暁を覚えず

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 シノハラさんとは結局距離が開いて。  そして。 「私さぁ、高校行ってからずーっと勉強漬けだったんだよね。おかげで学年でもけっこういい所まで行ってさ。だけど……だけどさ。やっぱり、頭がいいっていう評価ができると、こう、距離を置いてくる人も出てくるの。それで……まぁ、高校行ってから、また好きな人が出来たんだけどさ……あからさまに避けられたっつーか……」  ……それより新しく好きな人の部分で微妙に悔しい気分が湧いたの何でだろうね。 「そんで、まぁ言うとダメージデカイからスルーしてもらいたいんだけど、もう本格的に嫌われて、そんで一度その手の評価は傾くとあとは勢い任せってーの?」 「うーわ、最悪だなオイ」 「進学校なんて陰険な奴ばっかだよ。それで、家帰ったら両親はこう言うの。今の調子で頑張ってイイ大学イキナサイーって。それでもう、ねぇ?」 「カッチーン、と」 「そうそう、カチーンと来たわけ。で、今に至る、と」 「ふーん……なんつーか、壮絶だなぁオイ。…ってちょっとまて」  ふと湧いた疑問。 「どこに俺が原因な部分があるんだ?」 「……彼氏居れば好きな人もできなかったんじゃない?」 「え、そんな理屈ッスか?」 「そんな理屈ッスよ」 「うわー、それは無いわ」 「無いかな?」 「無ェーよそれは流石に」 「えー、そう?」 「そうだって」  つーか無意味にモノローグ入れた俺が恥ずかしいわ。俺の純情返せ。  その後一時間くらい談笑して。 「……んじゃ、俺そろそろ帰るわ」  ―― そろそろ、夢から覚めよう。 「……そっか。うん、もういい時間だしね」  シノハラさんも、名残惜しさは一切無く。 「じゃあね、ソウヤ」 「また、今度」
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