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「と言うわけで、キスしてください。」
森崎瑛理珠は一方的に京一に接吻を求めた。
「一に聞くけどなんでお前はキスにこだわる?明らかに普通のカップルからしたら、順番おかしいだろ!」
理由を尋ねると、
「だって、杏子ちゃんにに早く追いつきたいんだもん。
とのことだった。
「あなたが杏子ちゃんにしたことを私にもして欲しいの。」
正直に言われると、少し照れる。
お世辞抜きで、間違いなく黙っていれば森崎瑛理珠は可愛いのだ。
(俺が杏子としたこと・・・)
兄妹の枠を越えてしまった行為の数々を、同じように。
「お願い。大丈夫。あなたは私の彼氏なんだから。」
戸惑う京一の心中を察したのか知らないが、瑛理珠はそう言葉をかけた。
キスは好きな人にしかできない行為。
好意がなくてはできない行為。
「ツンデレな杏子ちゃんも外の世界じゃ無力だから」
無言の空間を突き破るように、瑛理珠はそう言った。
京一は思った。
素直に好きと言ってくれたら、こいつはどれだけ可愛いのだろう、と。
嫉妬している女性ほど、可愛い面はない。
だけど、今自分がこういうことを考えていることも、森崎瑛理珠にはバレているのではないだろうか。
そう思うと、少しだけこの女が怖くなった。
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