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森崎瑛理珠は新品であろうか、まだ刃が使われた形跡のないカッターナイフを取り出した。
彼女はカッターナイフから刃を抜き取ると京一の方をみた。
「ねぇ、瑛理珠さん。本当にやるんですか。」
「当たり前よ、前からやってみたかったんだぁ。」
ニコニコとカッターナイフの刃を眺める瑛理珠に、京一はやりたくないなどとは言えなかった。
こいつは変だけど、あまりガッカリしているところを見たくはない。
きっとこんな事でも、彼女にとっては楽しいのかも知れない。
何故だかそんな風に思えた。
ただ、カッターナイフは危ない。
一応保険を付けておこう、と、
「あの・・・、できればポッキーの方がいいんだけどな・・・」
と言ってみたが、
「ポッキーゲームならいつだってしてあげる♪今更逃げようなんて許さないわよ。」
「わ、わかったよ、、、」
結局、森崎瑛理珠には見透かされていた。
「さっ、くわえてぇ」
夕暮れの教室でカッターナイフの刃をくわえる彼女と二人きり。
なんてシュールな絵面だろうか。
京一はそんな空間に佇むヒロインのくわえるカッターナイフの刃に、口をそっと近づけた。
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