序:ヤンデレ

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  「京一くん、つき合ってほしい」  森崎瑛理珠(もりさき えりあ)は、京一の双子の妹のクラスメート。  友人のやたらに多い妹にとってみれば、そのたくさんの人衆の一人。  同じ高校だが、クラスが違う森崎のことを、京一は知らなかった。  知らないと言っても、彼女の存在を知らなかった訳じゃない。  彼女は学校で言えばかなりの美人に分類される。  特に胸部がナイス過ぎる。  そんな感じで男子の間では間違いなく人気株だった。  ただ、何故?  何故俺なのだ?  京一は自分が中の中くらいのルックスだと思っていただけに、彼女からの告白は意外なものだった。 「あ、あのさ、何で俺なの。あんまり顔馴染みじゃないのに」  そう聞き返すと、森崎は 「あなたに私の“初めて”になってほしいの・・・」  と恥ずかしげな顔で言ってきた。  理由としては全く成立してないけど。  だけども森崎瑛理珠のダイタン発言に京一の心臓の鼓動は速まった。 「えっ、はっ?え、なに?どうゆうこと、えっ、え、そういうこと?・・・なの?」  焦る感情を抑えながらも、京一は森崎に聞き返した。  コクリ、、、  森崎瑛理珠は首を縦に振った。 「う、うん。わかった。よ、よろしく、よろしくお願いしま、す、、、」  京一がそうOKの返事を返すと、森崎はなにやら奇怪な笑みを浮かべた。  うん?  貞子が人を見るようなにやけ顔だった。  そう京一が森崎の浮かべた表情を気にしだす前に、森崎は可愛げな表情を浮かべ、 「ありがとう!これからよろしくね、京一くん」 と言った。  超カワイイ!  やっばい、こんな娘が俺の彼女かぁ、、、  悪くないなー  え、でも待てよ、初めて、、、ってことは何!えっ!キタコレ!?  と京一は浮かれていた。  すると、森崎は満面の笑みを浮かべた。 「あなたの弱みと声はいただいたから、とりあえずこれにサインしてよ!」  と言うと、森崎は二枚の紙を持ち出した。 「は?え、どうゆうこと?なにこれ?」 「えっとね、借金の連帯保証人の証明と婚約届けだよ♪」 「は?」  場の空気が完全に凍りついた。
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