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「あの、言ってる意味が分からないのですが、、、」
「いや、言葉通りよ。私はいろんなあなたを知っているの。だから私の恋人とパシリになるの」
「パシリってなんだよ!おかしいだろ!」
「おかしくなんてないわ、だって私はあなたを愛しているんだもの。」
森崎瑛理珠の言動に未だに脳の回路が追いついていない京一。
「いや、いくら可愛い娘ぶったってそうは行かない。ってかパシリもおかしいけど、何だよ?借金の連帯保証人って!笑えないよ!」
「あら、何で?恋人は普通親の残した多額の借金を抱える女とそれを支える男が借金取りから逃げ、駆け落ちするものじゃないの?」
「間違ってる!間違ってるから!」
あまりに白々しい態度の森崎に突っ込む京一。
もはやこの状況は意味不明なものだったが、早く逃れようと必死に言い返した。
「第一、俺はそんなこと知らなかったんだぞ。ってか知ってても人に押しつけるものじゃないだろ!」
「でも、あなたは私の初めての下僕になってくれると言ったわ。」
「もうパシリですらねぇ!!」
「下僕が主人の言うことを聞くのは当たり前よね?」
待てよ―――。
ひとまず整理する。
森崎瑛理珠は俺のことが好きなのか?
あれ?
「私、あなたを好きとは一度も言ってないわ。愛してるとは言ったけど、主人が下僕に愛を育むのは当たり前じゃない。」
考える京一に森崎瑛理珠はそう言い放った。
「人の心の中に入ってくるな!それがどうした?お前、学校に突き出してやろうか。それがバレたら退学だろ~!」
「あら、じゃあこれを持ってでも私に逆らうの?」
森崎瑛理珠の手にはICレコーダーが握られていた。
「セリフを切り貼りしちゃったりなんかしちゃったり」
悪魔の笑み。
端から見てれば可愛いその微笑みに悪魔が見えたのは、おそらく京一だけだろう。
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