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「た、たかがICレコーダーじゃないか!そんなものでどうにかできると思ってるのか?」
恐怖に焦る京一と反対に、森崎瑛理珠は相変わらず淡々としていた。
「じゃあ、私を倒してここから逃げる?」
森崎は京一にいろんな揺さぶりをかけてくる。
「言っておくけど、私喧嘩は強いのよ。合気道初段なの。」
「しねぇよ。女の子に暴力は振るわない。」
「あら、優しいのね。こんな状況なのに。」
森崎のその発言から読みとれる事。
それは森崎が質の悪いヤンデレだということだ。
無論デレるかどうかは不明だが。
「ってお前は自分のやってることが常軌を逸してることに自覚があるじゃないか!何でこんなことすんの?」
しばしの沈黙。
春がそよぐ屋上には、告白場所にしてはあまりに似合わない夕陽が照っていた。
やがて森崎瑛理珠の口が動き出す。
「決まってるじゃない。あなたを愛してるからよ。あなたは私には逆らえない。だって私はあなたの全てを知っているもの。」
「は?」
「あなたの全部を手に入れたくて。あなたをたくさん知ったわ。そしてあなたを手に入れる切り札を手に入れた。」
「な、なに?」
「あなたが杏子ちゃんとデキてること」
森崎瑛理珠のその言葉と同時に、京一は何も言い返せなくなった。
「なんで、、、それを―――?」
「言ったでしょ。私はあなたの全てを知っているの。」
「俺にどうしろと?」
京一は折れた。
京一は一番知られてはいけない秘密を知られていた。
もう森崎瑛理珠に逆らおうとは思わなかった。
「私は杏子ちゃんに嫉妬したりしない。正直、借金の連帯保証人とかどうでもいい。おちょくってごめんなさい。」
森崎はそう謝ると、京一の下により京一に飛びついた。
いきなりのことで驚いた京一だったが、そっと森崎瑛理珠の体を抱きしめた。
「私はあなたが私の傍にいてくれればいいの。それだけ。」
これが俺のヤンデレな彼女だ。
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