序:ツンデレ

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  「お兄ちゃんのことなんか、、、」  えっ?  高鳴る心臓音。  なんだこれ?  ちょっと待てよ、おい!  間違いなくヤバい状況だった。  京一は心底妹の杏子を溺愛していた。  それは一方的な愛だ。  好意とは一線を置く好きな気持ちだ。  重度のシスコン。重症過ぎて(笑)とか言われても構わないような愛だ。  だからこそ、こういう事はダメなのだ。  杏子は変な子ではいけないのだ。  周囲から支持されてる可憐な子であって欲しかったのだ。  京一はその妹をひたすらに可愛がる兄貴でいなければならなかったのに。 ただのシスコンの兄貴としているだけでよかったのに。 「心配しないわけないじゃないの、、、」 不覚にも、その言葉に京一はときめいてしまった。 「死んじゃヤダよぉ、、、お兄ちゃん、、、」  涙目を浮かべて杏子は京一に抱きついた。 「し、死なないから!死ぬわけないから!!な、泣くなよ、、、大丈夫だから」  京一は必死に杏子を遠ざけた。  このままでは本当にマズい気がしたからだ。 「でもでもでもぉ、お兄ちゃんのインフルエンザ、たくさん人死んじゃってるし、、、心配なの!お兄ちゃん大好きなの!怖いの!!!」  杏子の突然の告白に京一は唖然とするしかなかった。  そして唖然としたまま杏子の涙目の瞳を見つめていたら、京一は杏子に唇を奪われた。  京一の杏子以外のファーストキスは、好意の相手としての杏子だった。
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