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「ごめんなさい、お兄ちゃん。私・・・」
杏子はうずくまって京一の元に座り込んだ。
「お、お兄ちゃん。。。」
涙声で杏子はそこにいた。
京一は堪えきれずにそんな杏子を抱きしめた。
「いいか、杏子、よく聞け。今日のことは俺たちは何もしらない。何もなかったことにしよう。」
胸元の杏子に京一はそっと呟いた。
「・・・やだ」
ところが杏子は京一の提案を拒んだ。
「えっ?」
「やだもん。お兄ちゃんが大好きなんだもん」
また杏子に唇を奪われた。
今度はさっきより少しだけ長く―――。
「お願い。学校とか・・・、家でも感づかれないようにするから・・・」
杏子は京一のシャツを強く掴んだ。
その手から、小刻みに伝わる震えを京一は感じ取った。
「だからせめて2人っきりの時だけ、お兄ちゃんの恋人にして。」
マジかよ―――、、、
と未だに京一は現実を掴めずにいた。
が杏子の思いを踏みにじれるほど、京一は強くなかった。
兄貴として、妹を妹ととして見ることは、もはや出来なくなっていた。
妹を愛していた。
その体を求めてたということが嘘だとは言えなかった。
「ああ―――」
京一は杏子に返事を唇で返した。
目を開けると、いつもツンとしていた杏子から、これ以上にないほどの笑顔がこぼれた。
そして2人はもう一度唇を重ね合わせた。
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