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「……学校?俺はもう社会人。
普通に会社勤めしてるが?」
財布の中に入れてる
入社証を香奈美に見せる。
「……縦峰電子。
なんか、背広とか似合わないね」
入社証の顔写真を
見ながら話す香奈美。
「見慣れてない上に
童顔だからなぁ……。
俺もそう思ってる。
26にもなったのにな。
正直、堅苦しいのは
あんま得意じゃないし」
入社証を元の財布に戻す。
「そっか……。もうそんなに
経ってるんだよね……。
でも、幸ちゃんがまだ
生きてて良かった。
ひょっとしたら、
私の後を追おう……なんて、
馬鹿な真似しそうだった
から……」
香奈美の言葉に苦笑する。
「流石にそんな勇気、
俺にはない。
せめて、人らしく
全うに生きたいね」
「……それなら良いんだけど」
安心する香奈美。
半分それも考えたが、
追った所で、会えるとも
思えなかったからな。
「それよりも、香奈美。
今までどうしてたんだ?
何故また俺の前に……?」
俺の質問に考える香奈美。
「よく分からないの……。
何て言うのかな……?
こう……空を漂ってたら
掃除機で吸われる様な
感じがして、気が付いたら
ここに居た……みたいな。
ちょっと説明できない」
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