Turn1 再会

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「香奈美の生前の写真 見ながら描いたからな。 似ていて当然だ」   「ねぇ、幸ちゃん。 覚えてる……?11年前に、 私が言った言葉。 その通りに、 なっちゃったね……」   覚えていた。 と言うか、忘れられなかった。   また会おうなんて、 言われたら。   まさか、現実に漫画や 映画や小説みたく、 蘇るなんて事は天地が 引っくり返っても、 無いと思ってたんだが。   「……幸ちゃん?」   俺の顔を覗き込む香奈美。   まだ、目の前の出来事が 信じられず思いふけっていた。   しかし、現にドールだが 香奈美は此処に居る。   (……何を悩んでいるんだ。 それで良いじゃないか。 素直に受け入れるべきだ。 それを望んでいたのなら、 喜ぶべきだろうに)   「……香奈美」   いきなり、声を掛けられたか 驚く香奈美。   「な……、何?」   「…………お帰り」   「…………ただいま」   暫く沈黙して、俺達は笑った。   この時から、人とドールと言う 奇妙な生活が始まった。   何故、香奈美がまた 戻って来たのかは、謎だが 今は素直に喜ぶ事にした。  
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