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「そうだけど、非常事態なんだ!
頼む、お前から振り込んでくれ!
相手は俺が逃げると思って、
信用してくれないんだよ!
頼む!」
(……違う。相手は……、
幸ちゃんじゃない!)
「お前は、俺を見捨てる気
なのかよぉっ……」
(まだ本人だと言い張る
みたいね……。
ちょっと確かめてみよう)
「無理よ……。だって私
人形だもん」
「こんな時に、冗談言って
どうすんだ!頼むから、
早く……!」
(…………やっぱり)
「ねぇ、幸ちゃん。
私の名前、分かる?」
「な……、何言ってんだ。
お前の名前位分かるさ。
でも、そんな事言ってる
場合じゃ……」
「じゃ、自分の名前。
言ってみて。体は無事
なんでしょ?記憶喪失
とは言わせないわよ」
ガチャッ、プーッ。
プーッ。プーッ。
(あ……、切れた。
全く……。悪戯にも、
程があるわ)
プルルル……。
(あ、また電話だ。
また偽物かな……)
「もしもし?」
「ああ、香奈美か?幸平だ。
そっちは変わりないか?」
今度は本物の幸ちゃんね。
「ちょっと退屈かな」
「そうか……、悪いな……。
今夜ゆっくり教えてやるからさ。
……色々とな」
「いやん、幸ちゃんのHぃ」
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