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腕を掴まれた瞬間、
反射的に振り放そうとした。
でも、すごい力で、
全くほどけない。
力というか、
なにか呪縛にかかったみたいだった。
ソイツは全く力を入れていない。
そして、
その細い腕を自分に引き寄せた。
俺は、倒れ込みそうになりながら、
ソイツにぶつかった。
『名は』
「…」
間近で見ると、
とても幽霊だとは思えない
リアリティがあった。
コイツは、何なんだ?
混乱して、
言葉が、
声が、
出ない。
喉元まで、
「助けて!」
て叫びがこみ上げてるのに、
声にならない。
『恐ろしくて、
声も出ないか』
クッ…と、
喉奥でソイツは気味の悪い
笑みを漏らした。
『安心せい。
命は取らぬ。
…命は、な』
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